ご近所のこと - SETU ART GALLERY
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2014-08-01

ご近所のこと

山の上ホテルの下のところに、大きなお屋敷があって。すごい門、「頼も~」っていうような立派な門があって、坂のしたの方までお屋敷だったのかな。上の方には和風の式台のあるような家で、下には黒い大きな建物があって。映画をやってる(撮っている?)らしいって聞いたような。

御茶ノ水通りの手前に、黒いおもしろいおうちがあったの。テラスが突き出ていて、モダンで、姉と「おしゃれな家だわね」と言っていた。水道橋に行く道の途中だったかなぁ。

徽章屋さんというのがあって。メダルや校章をつくっていた。工場はここじゃなかったかなぁ。ハヤカワさんという同級生がいて、よく遊んだ。

蒲田の撮影所につとめている人(技師?俳優?おひげのおじさんがいたとも)がいて、姉は「女優にならないか」って言われたのよ。姉は日本髪が似合う人だった。私は結婚するまで口紅だってもってなくて、姉に借りたのよ。

近所に顔のいい男の人がいて、こどもたちは「あの人たち、かけおちなんですって」と言っていた。(そのお連れ合いは)粋な感じのおばあさんだった。男の人はいつも着流しでいた。街の子どもだったから、大人の言うのを聞いてたのね。

通りから通りまでずっと敷地になっている材木屋さんがあって、そこに井戸があった。夏になるとそこの井戸でスイカを冷やしてもらった。

近所の人がかわいがってくれて、連れていくのにちょうどいいって言われてあちこち連れて行ってもらった。川崎大師に連れていってもらった。くずもちと大きなおせんべい、お土産に買ってねぇ。

家の前は、看板屋さん。大きな家で、二階も看板の工場だった。広くてね。街中なのに工場があるっていうのが不思議だった。家のななめ前がお産婆さん。わたしをとりあげてもらったらしい。

自転車は三角乗りからはじめた。
家にはなかったから、看板屋さんのところで借りたのかなぁ。岩本町から姉の友達が婦人用自転車に乗ってきて、置いてあるから、「借りてもいい?」っていったら、いいよっていうから、乗って。三角のりで乗ったのよ。おてんばだったでしょ?

たまごだけ売っているところがあったわね。
乾物屋さんで、うみたての卵を売っていて、ひとつひとつ見ては「いいですよ」って売ってくれる。

鶏をかごにいれて売りにくるのもあった。とりやさんって言ってたけど。

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